ダカール
2022年10月17日
◆驚きのエールセネガル◆
天井は大西洋をイメージしたかのような波をうっており、白く光り輝いている。その下には、カフェや待合席、そして、子供の遊び場あった。
カフェはお客さんで溢れかえっており、待合席にも大勢の乗客が搭乗を待っていた。
その中で、長蛇の列ができている搭乗口があった。しかも、キャリアはセネガル共和国のフラグシップ、エールセネガルである。
乗客の多さから機体は、B777、B787あるいはA330であることを容易に想像できたが、行先に興味をもった。搭乗ゲートの案内表示板を見ると、なんとニューヨーク行きであった。
エールセネガルもついにニューヨーク便を就航させていたのだ。もっとも、大西洋を越えるだけなので、ダカールから見てアジアの国々よりも距離は短い。
なお、エールセネガルはマルセーユにも直行便を飛ばしている。
◆改修工事をしていたトプカプラウンジはどうなったのか?◆
空港内には、プライオリティパスで利用できるラウンジが2つある。トプカプラウンジとオデッサラウンジである。
1年前は、トプカプラウンジは改修工事をしており、オデッサラウンジを利用した。
今回トプカプラウンジは、改修工事が終了し営業しており、久しぶりに利用することにした。
受付でプライリティパスを提示すると搭乗券の提示を求められた。搭乗券を提示すると女性スタッフは困惑した表情になり、利用できないとのこと。
カウンターの上にプライオリティパスの表示版があるにも関わらず利用できないので、その理由を求めると、どうやら搭乗するキャリアによって、利用できるラウンジを分けているとのことである。おそらく、混雑防止のためであろう。
よって、反対側にあり、トプカプラウンジから200メートル以上離れたオデッサラウンジに向かった。
オデッサラウンジはトプカプラウンジよりも広く、滑走路や駐機場を見ながらくつろげる快適な空間である。
滑走路を眺められる窓の前の席に荷物を置いて、食べ物をとりに行った。
食べ物と飲み物は2年前と大した変化はなく、この時は、いつも夕食をとる時間から3時間ほど遅いため、ピザとタルトとビサップジュースの軽いものにした。
携帯電話を充電しながら、美味しいタルトを食べていると、がっちりした体の中年の男性から、隣の席が空いているか声をかけられた。
その男性は荷物を私の隣の席において、食べ物をとりに行ってしまった。彼の荷物を私に見張らせるために、声をかけたようだ。
なお、男性は英語で私に話しかけており、同僚と思われる3人とも英語で会話をしていた。彼らからは軍人の雰囲気が漂っていた。
出発1時間前になったので、トイレで用を済ませ、ラウンジを出た。
搭乗口へ向かう途中に、新しくいくつかのラウンジが出来ており、中を覗くと、オデッサラウンジよりは簡素であった。
◆そして、いよいよ離陸◆
搭乗時刻の近くになると、チュニスエアーのCAがゲートを潜り、ボーディングブリッジに入って行った。どうやら、少し遅れるようだ。
ところで、周囲を見回すと、1年前はほとんどの人がマスクをしていたが、今回は半数しかマスクをしていなかった。
搭乗のアナウンスが始まると、人々はわらわらと搭乗ゲート前に集まり、列を作っていった。
ボーディングブリッジを通り、機内に入る。すでに多くの乗客が座っていることから、私の予想通りギニア共和国のコナクリから来たようだ。なお、私がウェッブチェックイン時に指定した席には他の乗客が座っていた。
機体はA320NEOで乗客収容数は120人前後の中型機。席のピッチは少し狭いが、搭乗率が70%程にもかかわらず、幸運にも私の隣には誰もいなかった。
出発予定時刻よりも30分遅れて、機体はボーディングブリッジから切り離され、滑走路に向かった。同時刻に出発するエールフランスよりも先に滑走路に入った。
滑走路をのそのそ進むと機長から離陸のアナウンスが入り、エンジン音が大きくなった。体がシートに押し付けられ、機首が上方に傾くと、窓からダカールの灯が広がっていった。
機体が高度を上げると、ダカールの灯は小さくなり、数を増していった。セネガルとは、しばしのお別れです。
つづく
2022年10月16日
◆様変わりした空港◆
ターミナル入口で兵士にパスポートのチェックを受けた。前回はこの後、壁に設置されている装置で手を消毒したが、この時は誰も使用していなかった。というよりも、装置が壊れているような気がした。
そういえば、マスクをしている人が以前よりも相当少なく感じる。実はこれは、チュニジアへの前奏でしかないことが後程わかるのです。
ところで、ダカール発、パリ着のエールフランスも私が搭乗するチュニスエアーと同じ23時に出発する。
セキュリティチェックを越えた先には、エールフランスに搭乗する乗客の列ができていた。一方私のチュニスエアーはというと、どこのカウンターで手続きをするのかわからない。
まずは、案内モニターの前に行き、私の便を探した。
TU0841が表示されていたが、カウンターの番号はまだない。
案内モニターを眺めているとTU0841だけ、目的地がチュニスからコナクリに変わった???
これはチュニスエアーが以遠権を取得し、チュニスからダカール、そしてコナクリを最終地としているからである。よって、この表示の意味は、コナクリからダカールへ便が来るとのことである。
なおこのような便は注意を要する。
通常、空港までの道中で渋滞が発生すると、クルーも巻き込まれるので、渋滞が原因で遅れてチェックインしても、乗り遅れることはない。
一方、そうでない場合、例えば今回のような場合は、クルーがダカールで交代することなく、チェニジアまで乗務すると、チェックインが遅れた場合、置いて行かれる可能性がある。
◆チェックインは3時間前から◆
とりあえず、セキュリティチェックを受けようとしたが、まだ早いとのことで、セキュリティのおじさんに追い返されてしまった。どうやら、チュニスエアーのカウンターで、スペインのLCCであるvuelingがまだ搭乗手続きを終えていないらしい。
それでも出発3時間を切ると、チュニスエアーのカウンター番号が表示された。まだそのことを知らないセキュリティのおじさんに説明し、セキュリティチェックを突破できた。
チェックインカウンターの前に、ポストがありここでパスポート、チケット、ワクチン接種証明書を確認していた。なお、私は2番目であった。
チュニジアは今年2月26日から、規定の回数のワクチンを接種した人は、PCR検査陰性証明書は必要なく、更に入国後の隔離もない。
◆ウェッブチェックインは何のため!?◆
事前にウェッブチェックインを行い、席の指定を行ったにもかかわらず、その時に選んだ席ではなかった。これは機材変更かコナクリからの乗客が原因なのかもしれない。
更にもう一つ。
出発時刻が23時にも関わらず、搭乗時刻が朝4時半となっている。現状は大幅に遅延していないはずなので、おそらく、発券機の設定ミスであろう。
搭乗券を握りしめて、イミグレーションに向かった。カウンターは4か所開いており、乗客は各カウンター前に2,3人しかいなかった。
ここでは、両手の各5本の指の指紋と私の顔写真を撮られたのみであった。パスポートの追記のページに出国スタンプを捺され先に進むと、セキュリティチェックが現れた。
ここでの検査は厳しく、私の周りの乗客は、ベルトも外して金属探知ゲートに反応しないようにしていた。
◆目の前でX線装置が壊れる◆
これを見て、私にチャレンジ精神がふつふつと湧いた。ベルトを着けた状態で、金属探知ゲートを突破しようと。
鞄をX線装置のベルトの上に乗せると、突然X線装置が停止していしまった。係員は復旧しようとしていたが、びくともしない。どうやら、壊れてしまったようだ。
隣の空いているX線装置に全員が移動した。その中で、列の後ろにいた一人の男性が、急いで一番前に並んだ。周囲の人たちは不快な表情でその男性を睨んでいた。
なお、ベルトをした私が通過しても、金属探知ゲートは鳴ることはなく、更に荷物についてとめられこともなく、最後のセキュリティを突破した。
この先で、あることを確認することにした。そのあることとは・・・
つづく
2022年09月30日
◆豊穣の大地◆
ほぼ満席の機体が高度を上げると、寂寥としたダカールの大地とは異なる、緑に覆われ生命力に溢れたカザマンスの大地が広がった。
機体が近づきつつある大河カザマンス川流域では、この川が運ぶ肥沃な土壌を活用して、人々はこの地で生活をし、子供を育てているのであろう。
しばらくすると、ガンビアを通過し、サルームデルタ公園に入った。
眼下に広がる豊かな風景が、私の心をとらえ目が離せなくなった。
黄緑の大地に透明なブルーの川が蛇行しており、そのコントラストと模様がこの世のものとは思えないほど美しいのだ。
サルームデルタ公園から大西洋上空にでると、機体の後部のギャレーから音がし、いい匂いが漏れ出てきた。
トレーと飲み物を乗せたカートが私を通り過ぎ、カーテンで仕切られたビジネスクラスに入っていった。
そして、エコノミークラスにもドリンクサービスが始まった。
◆ダカール到着◆
飲み終えると、機長の「デッソン」とのアナウンスが入り機体が降下し始めた。眼下には徐々にダカールの大地が近くなっていった。
予定よりも10分程早く到着し、後部タラップから駐機場に降りた。迎えのバスに乗り込む途中で、私を運んでくれたエールセネガルATR72-600と行きの便のトランスエアーEMB145が重なり、そしてツーショットとなった。
初めての本格的なセネガル国内旅行を満喫した2泊3日であった。
初めての国内旅行(ジガンショール)編 終わり
<旅の予算>
・交通費 95,000FCFA
(18,050円)、往復
・宿泊費 82,000FCFA
(15,580円)、2泊分
・食費 15,900FCFA ( 3,021円)
合計 192,900FCFA
(36,651円)
2022年09月20日
◆フライトキャンセル◆
国内線の出発2時間以上前にも関わらず、エールセネガルのチュックインカウンター前は長蛇の列。
列の最後部に並び、しばらくすると、私の後ろにも人が並び始めた。なかなか先に進まないことに多少いら立ちを感じ始めた頃、空港職員が私の近くに来て立ち止まった。
空港職員がフランス語で説明を始めたが、あまり聞きたくない内容ほど、フランス語がよく聞き取れる。
この職員の説明によると、この日のジガンショール行の便は16:00と18:00の2便とのこと。しかし、私の便は16:50のはずであるが・・・なぜ?
嫌な予感し、チェックインカウンターに貼りだされた用紙を見て、オー・マイ・ゴット!と叫びたくなった。
なんと、エールセネガルのジガンショール行は、トランスエアーで運行されるとのこと。
後でわかったのであるが、機体はあるが、パイロットに問題が生じたようである。
渡された搭乗券は、しっかりと手書きで、16:50から18:00に修正されていた。
しかし、このオー・マイ・ゴット!はまだ序の口であることを、後に知らされるのです。
国内線なのでイミグレーションは通ることなく、保安検査のみを突破すると、窓ガラスを通して、複数のエールセネガルの機体が駐機場に並んでいるのが見えた。セネガル人カップルはそれらを眺め、うっとりとしていた。
◆カオス◆
階段で一つ下の階にある201搭乗口前に到着すると、待合スペースは多くの乗客でごった返していた。
ここでまずすることは、自分の便の状況を確認することである。
保安検査前のカフェの近くにあったモニターには、HC103は16:50出発とあった。
しかし、この待合スペースにあるモニターは18:00となっている。
仕方がなく、搭乗が始まるまで本を読みながら待つこととした。
16:30頃に、突然、乗客の一部に拍手が起きた。クルーたちが現れたからだ。クルーたちは、そそくさとバスに乗り込んで機体へ向かった。
ところで、拍手が起きた理由は? 嫌な予感がした。。。
その15分後に、ジガンショール行の便の搭乗アナウンスがあったので、列に並んだ。搭乗口前にいるGSに搭乗券を見せると、待ってくださいと言われ、バスに乗り込むことは許されなかった。
どうやら、私の便は、他にあるらしい。私以外にも、この便に乗れない乗客がおり、騒然となった。
フランス語を話す小さな子供を連れた白人女性は、朝から待っているのにいつ乗れるかと、GSへ食ってかかっていた。おそらく、この家族は、午前の便の乗客であろう。
この便の乗客がすべてバスに乗り込むと、待合スペースは閑散となった。
◆エールセネガルからの贈り物◆
この状態はまずいと判断したのか、エールフランスは、軽食を配り始めた。
サンドイッチ、ケーキ、オレンジジュース、お水である。更に、食後の温かい珈琲もあった。なお、スタッフも積極的に珈琲を飲んでいた。
げんきんなもので、お腹が膨れると、あれほど騒いでいた乗客はおとなしくなり、待合スペースには、穏やかな空気が流れ出した。
しかし、確かに便がキャンセルされたことは許されないが、他社の便に振替え、しかもお食事まで提供したことから、エールセネガルはできうる限りのサービスはしているのであろう(多謝)。
ところでモニターを再度見ていて気が付いた。ジガンショール行の便は2本あり、16:00と18:00である。おそらく、一つの機体でこれらを運航しているのであろう。
と言うことは、17:00に出発したので、私の便は18:00ではなく、19:00に出発することになるのではなかろうか。
この予感は的中し、19:00前に搭乗アナウンスが始まった。結局、当初よりも2時間以上遅れて、ダカールを出発することとなった。
しかし、人生悪いことばかりではない。この後、素晴らしいものを見ることになるのです。
つづく
2022年09月18日
◆相当早く家を出る。その理由とは・・・◆
ダカール発のフライトは16:50であるが、相当早い6時間前の11時頃に自宅を出発した。
その理由は3つある。
まず一つ目であるが、ダカール市内を流しているおんぼろタクシーが、巡航速度100キロメートルを優に超える高速道路を使い、60キロ先にある空港まで行ってくれるかだ。
空港まで連れてってくれるタクシーを見つけるのに相当時間がかかると予想し早めに自宅を出た。
最悪、自宅から徒歩10分のところにあるホテル、カフェドゥロームまで行くことも覚悟した。
と言うのは、ホテル前で客待ちをしているタクシーは、空港へ行く宿泊客を狙っているからだ。但し、値引き交渉に苦労することが予想されるが・・・
ガソリンスタンの前に立ち、タクシーが近づいてくるのを待った。すると祝日にも関わらず、待ち始めてから30秒でタクシーが現れた。
空港へ向かう途中で故障しないか、そのタクシーを注意深く観察した。
塗装は剥がれ、へこみは目立つがエンジン音は問題ない。
そのタクシーは、速度を落としつつパッシングをし、空であること告げてきたので、手を挙げて止めた。
◆交渉は成立するのか◆
運転席をのぞき込むと、ドライバーは、まだ30歳に手が届くか届かないかくらいの若いお兄さん。
「国際空港まで連れってください」と言うと、「ブレーズ・ジャーニュへか」と訊いてきたので、「そうです」と答えると、そのお兄さんの瞳がキラッと輝いた(ように見えた)。
私が空港まで13,000FCFA(2,500円)と値段を提示すると、「15,000FCFAなら行くよ」とのこと。
私が「高速道路代の2,000FCFAを別途支払う」と言うと、あっさりと交渉が成立した。どうやら、お兄さんの15,000FCFAに高速道路代が含まれていたようだ。
ところで、ガソリンスタンドの前でタクシーを拾った理由は、途上国のタクシーは長距離走る場合、途中でガソリンが心もとなくなり、給油を余儀なくされガソリン代を支払わされることがあるからだ。
もっとも、交渉した金額からガソリン代を差し引いて、支払うだけであるが。
ガソリンは十分に入っているとのことで、給油せずに空港へ向けて出発した。
◆セネガルテクノロジー◆
いつになったら開通するのかわからないダカール鉄道駅前を通過した。人気は無く、駅舎はまだ真新しく見える。
ダカール駅を後にすると、10年前に中国の企業が建設した大劇場が見えてきた。祝日と言うこともあり、大劇場の前の道は、平日に発生している渋滞がまったくない。順調に進んだ。
ところで、少し車内が暑いので窓を開けようとしたが、ハンドルもスイッチもない。
偶然、ドアノブ横に不自然にあるスイッチを発見し、なんとなく押してみた。
すると、窓が自動的に下がるではないか。これこそセネガルテクノロジーである。
◆安全運転が好印象◆
ところで、このお兄さんは、やたらサイドミラーをのぞき込む。そして、後ろから車が迫っていないことを確認すると、追い越し車線に出て、車を追い越した後、走行車線へ戻るを繰り返した。
100キロを超えたスピードで、これをおんぼろタクシーで行うので、少々怖かったが、このモラルの高い運転に敬意を表したくなった。
料金所で、多少時間がかかったが、途中、渋滞に出会うことは無く、ダカールを出発してから1時間で空港に到着した。
一つ目の心配事、おんぼろタクシーは私を空港まで連れて行ってくれるのかを無事クリアーした瞬間であった。
つづく