タンザニア:ムトワラ
2019年04月08日
ムトワラを出てからは、しばらくは美しい海岸線が続く。
まだら模様の雲の下に碧い海があり、その中にエメラルドグリーンの輪で囲まれた島が浮かんでいる。
この風景を見るには、進行方向に向かって左側の席に座るとよい。
機体が左へ傾き、海から大陸の方へターンをした。
下降する機体の窓からは、増え始めた建物が見え、車輪が降ろされる音が機内に響いた。
予定よりも30分早く着陸し、駐機場で停止すると、エアータンザニアのボンバルディアの機体が隣にあった。
行も帰りも予定より早く到着し、ディレイで有名なプレシジョンエアーにしては、珍しいことであった。
やはり、私の日ごろの行いの良さが、こんなところにも現れたようである。
ところで、ATRとボンバルディアの違いは、頭上の棚の広さであるが、もう一つある。
ATRの車輪はボディの下からでるが、ボンバルディアの車輪は羽の下にあるエンジンからでる。
ボンバルディア。
車輪はエンジンの下。
ATR。
車輪はボディの下。
機体の出口にいるCAに感謝の言葉を述べ、タラップを降り、国内線用入口へ、徒歩で向かった。
ターミナルを出ると、もはや、慣れ親しんでいるUberのアプリを起動すると、2分後に到着するとのメッセージが入った。
今まで利用した車種はすべてトヨタのISTであったが、この時は初めてのサクシードであった。
その車は、ボディにぶつけられた跡があり、あまり質が良い車体とは思えなかった。
乗り込んで、そのことがはっきりとした。シートは汚れており、煙草や体臭が混じった変な臭いが染みついていた。
しかし、いいことかあり、大型のスーツケースを3つは詰め込めそうなスペースが、後部座席の後ろにあることだ。
エンジン音もよく、見た目とは異なり、足回りもしっかりとしていた。
途中、タダラの交差点で渋滞に巻き込まれていると、交通警察が前の方から一台一台車をチェックしながら、こちらの方へやって来た。
彼は、私が乗っている車の前に止まり、タイヤを左右に動かすようにドライバーへ指示した。
問題があったらしく、ドライバーへ運転免許を求めたが、持参していないらしく、ドライバーは何やら言い訳をしていた。
交通警察は、後部座席に座っている私に目をやり、ドライバーが見せた紙の証明書を確認し、後ろの車へ向かった。
アルーシャ出身このドライバーは、交通警察に対して「so many problem」と言っていた。
カリアコの中心を走るムシバジ―通りに入り、ウパンガ迄、あと数百メートルのところで、またもや白い制服を着た交通警察が道路に飛び出し、車を止めた。
ドライバーは、先ほどと同じことを交通警察に説明し始めた。
窓から交通警察がドライバーを見ると同時に、その眼の端で私を捉えていた。
ドライバーは粘ったが、今回は解放させてもらえず、交通警察が溜まっている場所まで連れて行かれた。
そこで5分程、一悶着があり、ドライバーは交通警察と共に、車に戻ってきた。
ドライバーが車に乗り込むと、交通警察も助手席に乗り込み、「Uberはプライベートだ」と言い、警察署へ行くよう指示した。
警察署に興味はあるものの、彼らとはかかわりたくないので、仕方なくこの場所で清算し、荷物が詰まった鞄を持ち、自宅まで徒歩で、危険地帯カリアコを突破することとした。
やはり、トラベル(旅行)はトラブルと似ていると言われている通り、今回の旅も予想しなかったことがいくつか起きた。
しかし、そのことは、はっきりと記憶に残り、良い思い出となるのであろう。
1昨年のリベンジを果たすことができ、今回も、充実した旅となった。
おわり
<出費(2泊3日)>
合計395.33ドル
(内訳)
1 交通費:298.87ドル
エアーチケット(往復) 198.00ドル
タクシー代(空港-自宅)10.96ドル
ムトワラ 89.91ドル
2 宿泊費:39.48ドル
ルブラ・シー・サファリロッジ 26.32ドル
ロレ・グランド・ホテル 13.16ドル
3 食費:33.69ドル
ルブラ村 25.44ドル
ムトワラ 8.25ドル
4 マリーンパーク入場料:23.29ドル
2019年04月07日
出発1時間前に到着した空港は静けさが漂っており、この後、本当に飛行機が飛ぶのか心配になった。
搭乗口待合スペースには、カフェがあり、ムトワラの基幹産業の製品カシュナッツが売られ、乗客はまだ一人しかいなかった。
清潔感がある待合スペースで、マグフリ大統領が映されているテレビを観ていると、予定よりも25分早く、ダルエスサラーム発の飛行機が着陸した。
数十人の乗客が出てきた機体は、ATR72-500で、行に搭乗したものと同じだ。
この頃には、搭乗予定の乗客も集まり始め、出発30分前に搭乗案内のアナウンスがあった。
待合スペースから機体までは、もちろん徒歩で行き、行く先には、雲一つない青空の下、朝陽を受けて機体が鎮座していた。
狭い荷物入れの機内には、全席数の30%程しか乗客がおらず、今回も行きと同様、ゆったりとしたフライトになりそうであった。
なんと、予定出発時刻20分前に飛行機は駐機場から滑走路に入り、そのまま離陸してしまった。
お客さんが集まれば、すぐに出発するようで、国内線と言えども、出発ぎりぎりに空港に到着するように来ては、置いてかれる可能性があるので要注意である。
窓の外には、機体の影を落とした緑の大地が広がり、その後、ムトワラの街が現れ、小さくなっていった。
今回も、僅か一時間強のフライトにもかかわらず、リフレッシュメントのサービスが始まった。
乗客が少ないためか、キャビンアテンドもリラックスしていた。
ケーキと珈琲を選び、窓からユニークな形をした雲を見ながら、しばらく珈琲の香りと、ケーキの甘さを堪能した。
優雅なラストフライトとなった。
つづく
2019年04月06日
街が深い闇に包まれているのは、2日後が新月だからである。このおかげで、天の川を見ることができた。
それでも、建物から漏れる光は道路を照らし、その中を女性を含めた多くの人々が闊歩していた。ムトワラはダルエスサラームよりは治安はよいのであろう。
バイクタクシーもまだ営業中であり、あちらこちらから声がかかり、日中の賑やかさはあまり衰えていない。
また、家具屋さんの職人もまだ、家具に塗装をしており、これは納期が明日のためであろうか。
陽が完全に沈み、暑さから涼しさに変わりつつある街を行く当てもなく、街を彷徨っていると、なんとなく心楽しくなった。
気が付くと、宿泊しているホテルの前にいた。そのホテルの後ろには、ティファニーダイヤモンドホテルが、周囲に光を発していた。
お部屋に戻りテレビを付けると、映画The great wallがまだ、放送されていた。
その映画を観終わると、睡魔に襲われ、水圧が弱いお湯のシャワーを浴びた後、キティちゃんの毛布のベットに潜り込んだ。
明朝起きた時刻は、いつもの4時47分。
この日も、目覚ましなしで起きることができた。
7時45分発のフライトに間に合うように、ホテルを6時半に出発する約束をバカリとした。
ルブラ・シー・サファリ・ホテルでは、待ち合わせの時間よりも15分遅れて到着した。
果たして今回はどうなることやら。
実は、昨日タクシー代9,000円をすでに渡しているので、そのお金で、前日の夜に調子にのってお酒を飲みすぎ、朝起きられない恐れがあるからだ。
しかし、予定時刻よりも5分早くホテルの前の駐車場にいると、予定時刻の3分前にバカリは到着した。今回は、時間に正確であった。
空港へ向かう日曜早朝の道路は、静かであり、楽しかった日々の出来事が、次々と心に浮かんだ。
窓から、朝陽が車内に入り込んできた。
ホテルを出発してから、僅か15分で、朝陽を浴びて輝く空港ビルが見えた。
バカリに、感謝の気持ちとして、チップをわたし、ターミナル出発口へ向かった。
つづく